東京地方裁判所 昭和24年(チ)24号 決定
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
(事實)
相手方は抗告人の所在を知ることができないという理由で抗告人の借地權を消滅せしめるための賃料支拂の催告並に條件附契約解除の意思表示を公示送達するよう許可の申請をし、臺東簡易裁判所は昭和二十四年六月二十八日公示許可の決定をした。
これに對し抗告人は、相手方は被告人の住所を知つていたのに、偶々抗告人が借地契約書に新に借入れた地名地番を抗告人の住所として記入したことを奇貨として借地後抗告人が未だ右宅地上に建築をなさず、したがつて實際は未だ右場所を住所としたことがないのを知り乍ら同所を抗告人の最後の住所であるとして公示送達の申請をし、裁判所を欺罔して前記決定をえたものであると主張して原決定の取消を求めた。
(判斷)
裁判所は抗告人の抗告を却下して次のように判示した。曰く、
「民法第九十七條の二所定の公示による意思表示は公示送達に關する民事訴訟法の規定に從うべく、從て民事訴訟法第百七十八條第一項により、申立により簡易裁判所判事の許可を要すること勿論であるが、右第百七十八條第一項の申立に對し許可を與うる裁判に對しては本來抗告を許さないものである。蓋し、右許可を與うる裁判は口頭辯論を經ざる裁判ではあるが、民事訴訟法第四百十條にいう所の訴訟手続に關する申立を却下したものでないのは勿論特に之に對し不服申立をなしうる何等の規定もないからである。而して此の理は民法第九十七條の二の場合の公示送達についても何等結論を異にしない。
抗告人主張の如く若し表示者が相手方の所在を知り又は過失により知らざる場合に公示の許可が與えられて公示による送達ありとしても、此の如き場合には實體法上意思表示到達の效力を生ぜざることは第三項但書の規定に照して明であるから何等不都合を生ずることなしというべきである。」と。
(附記)
なお、本件相手方が原告となり、抗告人を被告とし、前記公示による契約解除の意思表示の有效であることを前提とする土地明渡の訴訟が東京地方裁判所に係屬中である。